定年退職されたご夫婦がこれからの人生を楽しむためのお庭。お父様の代からあったお庭の管理が大変になってきたこともあり、思い切って庭のリフォームをされました。リフォームにより手入れが楽になった、風通しがよくなった、など嬉しいお声を頂きました。
ご依頼のきっかけは?
庭をつくり変えようと思ったきっかけは2つありました。1つは借りていた駐車場に建物が建つことになり、自邸に車を停めるスペースが必要になったこと。もう1つは親父の代からあった和庭の木が大きくなりすぎて、日差しが届かなくなってきた事。自分たちで手入れをするのがちょっと負担になってきたこともあり、この機会に庭全体をリフォームしようと考えたのです。ハウスメーカーさんに依頼をしたのですが、なかなか納得のいくプランが出てこなくて困っていたところ、正木さんに相談する機会があり庭づくりが始まりました。
当初私たちの考えでは、新しい庭には全部で車3台分の駐車場があって、あとはバーベキューができるような芝生の庭があればいいくらいに思っていて。敷地も平らにするのが一番いいのかなと思っていました。
ところが実際に出来上がった庭は緩やかに起伏があり、捨てるしかないと思っていた見慣れた庭石も見違えるように配置されて落ち着いて見えました。そして何よりも駐車場が1台分増えたにも関わらず、以前より広く感じられるようになったことには驚きました。当初、駐車場をつくることに反対していた息子もびっくりで、これがデザインの力か、と妙に納得し感嘆した私たち。庭にいるのがどんどん楽しくなって庭づくりに参加するようになりました。
落葉樹で大きなドームにいるような広がりを
[正木]先代から庭を引き継ぎ、その維持管理に困っている人も多いですね。常緑樹を主体とした和風の庭はお手入れをしていても樹木の成長ととともに風船が膨らむように大きくなり、庭が狭く暗く感じられるようになります。まして駐車場を確保するとなると、なおさら庭は狭くなります。ところが落葉樹を天蓋のように繋げて植えると、大きなドームの下にいる様に感じ、枝先までが庭の一部として見えてくるんです。さらに地面に起伏をつけると目に入る面積は多くなり、結果的に庭が広くなった様に感じるのです。このいくつかのテクニックを重ねることで庭の広がりをデザインでき、使い勝手も良くなります。
最近の庭での過ごし方は?
以前の庭は自分たちで手入れをするのが難しくなってきていたのですが、新しい庭は気軽に手入れができる様になり、自分たちの手で庭を育てている感じで楽しいです。家族で次に植える植物の相談をしたり、一緒に苗木や野菜苗を買いに行ったりと、庭を通した会話が増えました。
また、庭をつくって変わったのは風通しですね。気持ちの良い風が庭を吹き渡るのが感じられ、木々の梢や葉が風に揺れていて気持ちがいいです。四季の変化も以前より身近に感じられるようになり、特に私は春の息吹の頃の淡い緑の時期が気に入っています。
食いしん坊の庭
私たち家族は食べるのが大好きで、息子は料理が得意。庭のデッキが出来てからは屋外で食べることが増えました。デッキを使うようになって家族で一緒にくつろぐ時間が長くなった気がします。近所の友達ともデッキで話し込んでしまうこともあります。ある初夏の朝、ほんのちょっとのつもりが昼近くになってしまったことも。家族の憩いの場でありながら、家族以外の人とも気軽にくつろげる空間ができてとても嬉しいです。
これからは自宅で過ごす時間も格段に増えるわけですから、庭があることで四季の移ろいを感じたり、小鳥のさえずりを聴いたり、ゆったりと潤い豊かに過ごせるのかなと思います。