日比谷、丸の内界隈には帝国ホテルとペニンシュラホテルと言う高級ホテルが近接してありますが、そのラウンジの雰囲気の違いに驚かされることがありました。片方は玄関のフロアレベルより数段低くなっており、もう片方は同じフロアレベルになっています。
たったこれだけの違いで落ち着き度合いが随分と違います。
ラウンジがフロアレベルより低い方はゆったりと包まれた感じがして、片や同じレベルにある方はザワザワとして落ち着きがありません。
この違いはどこから来るのでしょうか?
以前、サンクンガーデンと言う周囲の地面より庭床レベルを掘り下げて全体が眺められる様な庭を造った事がありますが、その中に佇んだ時、植えられた木々の根元や草花との距離が近く、土の香りすら感じられました。
そこには大地に包み込まれた様な安心感がありました。
ひょっとしたら、地面を掘り下げて作られた縄文時代のたて穴式住居とはこんな空間であったのではないでしょうか。
我々の身体の中の地表に寄り添う生活の古い記憶が残っていて、私たちに安心感をもたらしたのでしょう。
現代に於いて、安らぎの空間を作る時にも身体の中に眠る古い記憶との対話が大切だと思います。