戸建住宅

K邸 -大好きな父が遺した庭-

「父が穏やかに過ごした場に浸りたい」「地元の山にいるような庭にしたい」そんな思いからはじまった庭づくり。”ひょっこりひょうたん島”のように石積みをして盛り上がった場所の主役は、お父様が苗木から育てた大きな柿の木。石集めがお好きなお父様が旅先で集めた美しい小石は、水鉢に入れ煌めきと揺めきを楽しむデザインに。この庭にはクライアントのご要望で塀がありません。それによって風通しが良くなるだけでなく、植物を通して近隣の方と会話が弾み、人との繋がり・コミュニティが生まれたのです。私自身、新たな発見を得た庭づくりでした。

所在地
東京都府中市
完成
2020年
施工
中央園芸
住宅設計
ESPAD環境建築研究所

[記事・リンク]
ESPAD環境建築研究所

[こばなし その1 /  建物と庭の繋がりのこと]
写真に写っている建物(テラス)と庭には若干の段差があったのですが、それをじわりと繋げるために、雨水が染み込みやすく、土に馴染む大谷石を使うことにしました。すると、途端に、心地よい風が吹き、建物がぐっと良く見え始めたのです。通常コンクリート平板でおさめがちなこの領域を、このような繋ぎ方をすることで建物も庭も双方が美しく生きるという事を久々に目の当たりにしました。

[こばなし その2 / 毛細血管]
この庭の”ひょうたん島”と大谷石の間には、空気と水の通り道をつくり植物が呼吸できるようにしています。この大地再生への取り組みを、お医者様でもあるクライアントに説明したところ、「まるで人の毛細血管のよう。人の体の中で栄養を送っているのと同じですね。」とおっしゃられました。クライアントも私も「なるほど、人間も大地も、毛細血管を通じて同じように再生するんですね。」と深く納得し会話が弾んだ楽しい時間でした。

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